お知らせ

事業場外みなし労働時間制の危機.労働時間管理を放棄することがピンチを招く.(2026.5.14)

2026年4月15日に東京地方裁判所で事業場外みなし労働時間制に関する判決が下されました.

今回の裁判で重要な点の1つとして,「事業場外みなし労働時間制の適用可否」があります.

事業場外みなし労働時間制が適用されるためには,「労働時間の算定が困難なこと」という条件があり,
事業場外で労働しているときは会社側が労働時間を算定する(=確認すること)ができないことが条件となります.

しかし,現代ではスマホによって随時,指示は出せるし,GPS機能によってどこにいるかも把握することはできるわけです.

そうなると,「労働時間の算定が困難なこと」と主張することは難しくなり,
結果として今回の裁判でも事業場外みなし労働時間制の適用を否定される結果となりました.
そして,具体的な実労働時間は原告が提示した証拠に基づいて労働時間が算定され,
長時間労働があったということになり労働災害と認められることになりました.


この結果は,事業場外見なし労働時間制に大きなリスクがあることを示唆しています.

1. 会社側の「反証資料」がなくなるリスク
最大のデメリットは,「会社が公式な労働時間データを持っていないこと」そのものです.
裁判になれば,労働者側はスマホの歩数,GPS履歴,SNSの送信時間など,ありとあらゆる「非公式なログ」を持ち出します.
 
 労働時間を管理している場合: 「ログはあるが、この時間は休憩だ」と反論できる.
 みなし労働時間制の場合: 反論する根拠(公式データ)がないため,労働者側の主張がそのまま認定されやすくなる.

2. 安全配慮義務違反の「証拠」とされるリスク
「労働時間を把握しなくて良い」という制度の甘えが,
 裁判では「社員の健康管理を放棄していた」というネガティブな事実として扱われます.
「把握できなかった」のではなく「把握する努力を怠った」とみなされるため,
 安全配慮義務違反を問われた際に弁解の余地がなくなります.

事業場外みなし労働時間制には,残業代を減らせるなどのメリットもありますが,
それを上回る巨大なリスクを持っていることになります.

事業場外みなし労働時間制を適用するのは良いのですが,やはり労働者の安全配慮義務を守る観点から,
労働時間を正確に把握することが今後の安全運用につながります.

就労管理をDX化することで,外回りの中の労働者でも出勤や退勤の時間を手持ちのスマホで
記録することができます.
これを機会に就労管理や賃金計算のDX化を推進しませんか.

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